建築家がつくるロープライス、ハイバリューの家

  先月(3月中旬)、AnT cafe 3rdと題してAnTメンバーによる公開セミナーがハウステック富山ショールームを会場として開催されました。たくさんの方にお出でいただき、突っ込んだ質問も出て会話も弾み、参加された方にとっても主催者である私たちにとってもよい情報交歓ができ、有意義なセミナーとなったのではと感じています。この後もアップデートな内容を盛り込みながら定期的にセミナーを開催していこうとAnTメンバー同士で話しをしています。AnTに注目をしていただいている皆さん、ぜひまたお出でください。 さて、そのAnT cafe 3rdセミナーで各メンバーが話した内容をエッセイにして振り返ってみようということになりました。その第一番目として私が書くことになり、拙文ですが当日お話ししたことをまとめましたので気軽に読んでみて下さい。


 AnT cafe 3rd「0.1億円台のすまい」展およびセミナー 3月13日〜21日 


 建築家がつくるロープライス、ハイバリューの家 / 青山善嗣  


0.1億円台の家、つまり2000万円前後の家というのは住宅建設の中でも需要が多く、ボリュームゾーンが大きいところです。コストダウンには大量受注と標準規格の徹底が効果的ですので、受注力と開発力のある大手ハウスメーカーが競争力があり市場をリードしています。だからと言ってこの大きなボリュームゾーンを外すことは中小ハウスメーカーにとってもできるはずもありません。どのハウスメーカーも競ってこの価格帯の住宅を開発しています。しかしながら参入数の多さの割にプランのバリエーションが豊富かと言えば、コストが厳しく自由度が少ないからでしょうか、提案されているアイデアはどれもが似通っていて、一定のパターンと化しているように見受けられます。

  一方、衣や食の世界ではユニクロや吉野家は低価格であるにもかかわらず高品質が評判で多くの支持を集めています。住の分野でそのように低価格で高品質な住宅を提供する会社はあるでしょうか。個人的には「無印良品の家」 や「木造ドミノ」という商品を販売している会社などはプランのパターンを絞って仕様を標準化して低価格で高品質の商品を揃えていますので、そのような傾向が感じられるハウスメーカーですが、残念ながらユニクロのように圧倒的なシェアを業界内で獲得できておらず、どうも低価格、高品質だけで圧倒的な支持を受けてシェアを取ると言うことは住宅産業ではたいへん難しいことのようです。それはなぜなのでしょうか。 

 住宅というのは一つとして同じではない土着性を持った土地に建てることです。街並みや地域環境、歴史性や方位、敷地の形状、風向きや気温や湿度などの自然環境、あらゆることがその土地特有の条件として存在しています。 つまり、住宅というのはある地域のある土地に建つという「土着性」を持っており、住宅を建てようとする建主さんはこの土着性という条件から逃れることはできません。この土着性と自分の要望の折り合いを付けながら満足す るプランを探す旅が家づくりということなのです。コストと標準規格の徹底だけからはいい家ができない理由はここにあります。とは言っても低価格の魅力はとても大きく、その魅力に負けてこのことを理解されないで建てられる方も多いのですが、いい家の条件は土着性の要素を十分に分析し、そして善く取り込んで設計されていることといっても過言ではありません。 

 ハウスメーカーの住宅がローコストは実現しているれど、土着性という条件を加えてみたときにそこに魅力が感じられない、と思われたときにはぜひ「建築家との家づくり」をお考えいただきたいと思います。私たち建築家は それぞれの案件について個別に土着性を紐解き、予算に応じたコストプランニングを行い、総合的な観点から設計提案をいたします。長い年月を共に過ごす家がローコストだけに惹かれて発注してつくるというのは如何でしょう か。土着性という要素も含めて設計力で価値を生み出す「建築家との家づくり」をぜひご一考いただければと思います。

投稿者  :青山 善嗣
投稿日  :2011.04.16 Saturday
カテゴリー:04 リレートーク
コメント :comments(0)


コメント
コメントする








   

■カテゴリー

■アーカイブ

■リンク

others