住まいの値段 /水野 敦

新しく住まいづくりをスタートするにあたり、ほとんどの住まい手は総予算をいくらにするのか決めることから始めます。土地探しから始める方は、土地の値段を含めて考えますし、新居に合わせて家具や電化製品を新調しようとする方は、それらの費用も住まいづくりの予算に組み込んでいくのが普通のようです。その結果、最初に想定した総予算から土地や家具などの金額を差し引いた残りが建物の予算となる訳ですが、そこで設計事務所に住まいの設計を依頼すると、設計費用が余分にかかるので・・・、という風に考えてしまいがちです。実際にはハウスメーカーさんでも設計料はかかりますし、こんなネガティブな発想では気持ちの良い住まいは生まれるはずがありません。一般の方が自分の考えている住まいにどのくらいの予算が必要か正確に分からないでしょうし、低く見積もってしまった場合には建物に十分な予算を割けないため、あとあと不満を残すことになってしまいます。

私たちは設計依頼を受けるにあたり、住まいづくりの総予算をお聞きします。土地探しから始める方には、土地代を含めた予算をお聞きします。その上で、購入を検討されている土地が「住まいづくり」の中で過分でないかを判断します。購入が決まれば、残りの予算の中で設計料を含めて何が出来るかを考えます。住まい手の趣味や希望、将来の暮らし方を一生懸命考えます。一人一人違う個性を育むにはどのような器が良いのか、家族としてどのような空間が好ましいかを住まい手と相談しながら決めて行きます。住まい手との打合せや住空間の検討にかなりの時間を要します。ですから一人で受け持つできる件数には限りがあります。私たちの場合は年間2〜3件になってしまいます。現在はスタッフ含めて3名ですから、多くても年間あたり7〜8件が限界です。この人件費に支払うのが設計料となるのですが、これを高いと考えるか安いと考えるかは皆さんにお任せします。人それぞれ、考え方が違いますから。

さてAnT cafe 3rd「0.1億円台のすまい」展では、2つの住まいを紹介させて頂きました。1つ目は写真にある「ウッドデッキの家」、もう1つは「木工職人の家」です。この2つの住まいを通じて、私なりの住まいづくりの考え方、費用の割り振り方などを見て頂きました。この住まいに共通しているのが、住まい手が快適に過ごせるためのオンリーワンな空間であることです。そして、その土地の持つ能力を最大限に生かした空間が展開されていることです。私たちのつくる住まいは「量産品」ではありません。ましてや我々の利益を追求するためのものや芸術的な作品ではありません。住まい手のニーズを隅々まで拾い上げ、積み上がったものが「かたち」となった「住むための空間」です。この空間が他の住まいとどう違うのか。こればかりは文章や写真だけでは表現しきれない分が多々ありますので、オープンハウス等の機会に足を運んで感じて頂ければと思います。きっと住まいごとの相違点が見つかるはずです。


投稿者  :水野 敦
投稿日  :2011.08.05 Friday
カテゴリー:04 リレートーク
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