建築家に何を期待するか/山田哲也

AnTcafe3rd「0.1億円のすまい」展を終えて 

「君に設計をお願いすると高いんでしょ?」

よく耳にする言葉です。

「君ならどんな提案ができる?」

そう聞いてくださる方がいらっしゃらないのは、まだまだ僕たちの仕事が浸透していないということでしょうか。

水野敦さんが先に説明していらっしゃるように、総予算から土地代や設計料等を差し引いた分が建築本体にかけられる金額になるわけですが、私たちが設計するすまいは大量生産されている住宅と同規模のものを同じ金額でというのはなかなか難しいので、私の場合、主にボリューム調整や素材の選択によって予算内に納めています。


具体的にボリューム調整とは最小限の要素で施主の希望を満足できるように、空間のつながり、ボリュームのリズム、開口部のとり方、外部とのつながり等を検討します。単に「間取り」の検討ではなく高さや様々なつながりを含めた何次元もの検討によってできあがる空間は、例え面積的には小さくなっても、数値に表せない心地よさや贅沢感がそこにはあると思います。一度我々が設計した住宅をご覧になってください。広さが必ずしも住宅の評価指標ではないという事がご理解いただけると思います。


次に素材の選択という点ですが、僕たちが設計する住宅はカタログで販売されるような商品としての住宅でもありません。商品として売られている住宅であれば全てがそれなりの状態で設えてありますが、建築家との家作りではどこまで設えるかの線引きはお施主さんと相談して自由に設定できます。コストをかけるところとかけない所のメリハリも作れます。構造材でも美しいものにはあえて内装を施さない場合もありますし、別の用途の物を仕上げ材に転用してコストを下げることもあります。


これらの事が可能なのは、お施主さんが僕に「任せる」のではなく「一緒に造る」というスタンスで臨まれているからだと思います。

昔の人は身近にある材料を用いて自分たちで住まいを造っていました。発展途上国ではまだそのような方たちがいます。しかし、日本では人が増え、制度が増え、使える材料が増え、情報が増えたが故、自分がイメージするすまいを自ら具現化することができなくなってしまい、僕らのような職種ができたのだと思っています。なので、僕らの役割は先に述べたように何次元もの検討を踏まえた提案によって、みなさんのすまい造りを手助けすることなのです。

 

建築家は皆様のすまいに対する想いを一緒に考えてくれる身近な存在として認知していただけると幸いです。

そして提案力に期待して一度扉をたたいてみてはいかがですか?

投稿者  :山田 哲也
投稿日  :2011.08.22 Monday
カテゴリー:04 リレートーク
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